月末に請求書を作ろうとして案件の一覧を開くと、同じ取引先の行が2つある。片方は金額が古く、どちらが正しいのか分からない。前日に更新した人に聞こうにも、外出中でつながらない。数人の会社で事務を兼任していると、こうした場面は一度は経験するのではないでしょうか。
この記事では、案件管理を表計算(エクセルやスプレッドシート)から専用ツールへ移すべきタイミングと、移行の手順を順に説明します。小規模で案件管理ツールを探している方が、乗り換えるかどうかを自分で判断できることを目的にしています。
表計算が限界に近づいているサイン
案件が月に10件ほどで、触るのが自分1人なら、表計算で十分に回ります。乗り換えを考え始める目安は、次の3つです。
同時に編集すると、内容が食い違う
ファイルを複数人で開くと、保存のタイミング次第で片方の入力が消えます。クラウド上の共有シートでも、並べ替えやフィルタをかけたまま入力して、別の行に書き込んでしまう事故は起こります。「ファイル名の末尾に日付を付けて保存し直す」運用になっていたら、黄信号です。
見積から請求への転記でミスが出る
案件の一覧、見積書、請求書がそれぞれ別のファイルだと、同じ金額や宛名を2回、3回と打ち直すことになります。桁の入力違いや、値引き前の金額のままの請求が、月に1件でも起きているなら、転記の回数そのものを減らす段階です。
誰が何をどこまで進めたか分からない
「進行中」「完了」と書いた列だけでは、見積を出したのか、発注を受けたのか、納品したのか、入金待ちなのかが区別できません。担当者に口頭で確認する回数が増えたら、状況を一覧できない仕組みが限界に来ています。
表計算での運用の工夫や無料テンプレートについては、案件管理をエクセルでやる|無料テンプレートと、限界が来たときの選択肢で紹介しています。まだ表計算で続けたい場合は、そちらも参考になります。
移行の前に決めておくこと
ツールを選ぶ前に、次の4点を紙かメモに書き出しておくと、移行後に迷いません。
- 案件の進み方:たとえば「問い合わせ→見積→受注→制作→納品→請求→入金」のように、段階を5〜7個に絞る
- 案件を1件と数える単位:取引先ごとか、注文ごとか。月額の継続契約は毎月別の案件にするのか
- 入力する担当者と、見るだけの担当者:外注スタッフにどこまで見せるか
- 案件番号の付け方:旧ファイルの番号を引き継ぐか、新しく振り直すか
特に2つ目は後から直しにくい項目です。単位が曖昧なままだと、集計のたびに結果が変わります。見積・請求・入金を別々に持たない考え方は、見積・請求・入金をバラバラにしない|一元管理の考え方で整理しています。
既存データの移し方
過去のデータを全部移す必要はありません。移す範囲を絞ると、作業は半日から1日で終わることが多いです。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 取引先・連絡先 | すべて移す。重複は先に統合する |
| 進行中の案件 | すべて移す。現在の段階も合わせて入れる |
| 完了済みの案件 | 直近1年分など、期間を決めて移す |
| それ以前の記録 | 移さず、旧ファイルを読み取り専用で保管する |
手順は次のとおりです。
- 旧ファイルをコピーして保存する(元のファイルには手を加えない)
- 列の名前をそろえ、全角と半角の混在、空白行、結合セルをなくす
- 日付は「2026/09/25」のように1つの形式に統一する
- CSV形式で書き出し、ツールの取り込み機能で読み込む
- 件数と金額の合計が旧ファイルと一致するか確認する
請求書や見積書など、税務上の書類の保存期間や電子データでの保存方法については、国税庁の資料または顧問税理士にご確認ください。
失敗しやすい進め方
- 旧ファイルと新ツールを、期限を決めずに並行して使い続ける。どちらが最新か分からなくなり、二重入力が増える
- 過去数年分をすべて移そうとして、整形だけで何日もかかる
- 項目を増やしすぎる。最初は必須の項目に絞り、必要になってから足す
- 全員に一斉に切り替えさせる。まず自分の案件だけ移し、1〜2週間動かしてから広げる
- 切り替え日を決めない。「月初から新しい案件は新ツールにだけ入れる」など、日付で区切る
旧ファイルへの入力を止める日を先に決めておくのが、一番効果のある対策です。
KantanBiz では、問い合わせから見積、受注、請求、入金までが1つの案件にひも付くため、同じ金額や宛名を別のファイルへ打ち直す作業がなくなります。案件ごとの進み具合と担当者は一覧で確認でき、「あの件はどこまで進んだか」を誰かに聞かなくても分かるようになります。今の表計算はCSVで取り込めるので、一から入力し直す必要もありません。
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