納品書兼請求書は使っていい?納品書と請求書の違いと使い分け

「納品書って、出さないとダメなんですか?」——独立して最初の取引をするときに、いちばんよく出てくる疑問です。結論から言うと法律上の発行義務はありません。ただし、出しておいたほうがトラブルが減る場面がはっきりあります。この記事では、納品書と請求書の役割の違いと、実務でどう使い分けるかを整理します。

納品書とは:「たしかに納めました」を示す書類

納品書は、商品やサービスを納めたときに、その内容を相手に伝えるための書類です。モノであれば荷物に同梱し、制作物やサービスであれば納品の連絡と一緒に送ります。

書くのは、いつ・何を・いくつ納めたか。金額を載せることも多いですが、納品書の主役はあくまで「納品した事実と中身」です。

納品書があると、相手は届いたものと発注内容を突き合わせて検収できます。「頼んだ数と違う」「この仕様じゃない」を、請求の前の段階で拾えるのが最大の利点です。

請求書とは:「この金額を払ってください」を示す書類

請求書は、納めたものの対価を請求するための書類です。支払期限と振込先が入る点が、納品書との決定的な違いです。相手の経理は、この請求書を見て支払処理を進めます。

発行のタイミングは取引先の締め日に合わせるのが基本です。月末締め翌月末払いなら、月末までの納品分をまとめて翌月頭に1枚出す、という流れになります。納品のたびに請求書を出すとは限らないのがポイントで、ここが納品書との回数の違いを生みます。

納品書と請求書の違いを並べて比べる

納品書請求書
目的納めた内容を伝える代金の支払いを求める
出すタイミング納品のたび締め日ごと(まとめて)
金額の意味参考として載せることが多い実際に払ってもらう額
支払期限・振込先入れない必ず入れる
発行義務なし(商慣習)なし(ただし実務上は必須)

意外に思われますが、請求書にも法律上の発行義務そのものはありません。それでも全事業者が出しているのは、相手の経理が支払いを起こせないからです。

見積書から領収書まで、書類はこの順に動く

納品書と請求書だけを見比べると混乱しやすいのですが、取引で動く書類は全部で6種類です。どれが自分の出すもので、どれが相手から来るものかを並べると、2枚の位置がはっきりします。

順番書類出す側役割
1見積書自分この条件・この金額でできます
2発注書(注文書)相手その内容でお願いします
3納品書自分たしかに納めました
4検収書(受領書)相手たしかに受け取り、内容を確認しました
5請求書自分この金額を払ってください
6領収書自分たしかに受け取りました

6枚すべてを毎回そろえる必要はありません。小さな取引なら、見積書と請求書の2枚だけで完結することもよくあります。納品書が効いてくるのは、納めたものと発注内容がずれる可能性がある取引──数量のある物販、仕様が細かい制作物、期間をまたぐ作業などです。

なお、納品書とよく混同されるのが検収書です。納品書は「納めた側が出す」もの、検収書は「受け取った側が出す」もの。向きが逆になります。相手から検収書が返ってこない取引では、納品書の控えが「たしかに納めた」証拠として残る唯一の書類になります。

それぞれの書式は無料テンプレート集にエクセル形式で置いてあります(登録不要)。見積書の期限の決め方は見積書の有効期限、発注書の書き方は発注書の書き方で詳しく扱っています。

納品書兼請求書とは?1枚にまとめていい場合と分ける場合

「納品書兼請求書」は、納品書と請求書の役割を1枚にまとめた書類です。1回納品して1回請求する取引なら、まとめて問題ありません。実際に広く使われている様式で、書類の枚数が減り、相手にとっても「納品の中身」と「払う金額」を1枚で確認できます。

同じ書類を「請求書兼納品書」と逆の順で書くこともあります。どちらの名前でも中身は同じで、どちらが正しいという決まりはありません。納品の事実を先に伝えたいなら「納品書兼請求書」、支払いのお願いが主なら「請求書兼納品書」と、相手に先に読ませたいほうを前に置けば十分です。ただし書類名は取引の途中で変えないでください。呼び方が混ざると、相手の経理が別々の書類として処理してしまい、二重計上や支払い漏れの原因になります。

納品書兼請求書に入れる項目

納品書の項目と請求書の項目を、1枚の中で両方満たす形になります。

  • 書類名(「納品書兼請求書」と分かるように書く)
  • 宛先(取引先名)、発行日、書類番号
  • 自社の名称・住所(インボイスを出す場合は登録番号も)
  • 納品日(取引年月日)と、納めた品名・数量・単価・金額
  • 税率ごとに分けた合計額と消費税額
  • 支払期限と振込先

納品書だけなら金額は省けますが、請求書を兼ねる以上、金額・税額・支払期限・振込先は必須です。納品書の感覚で作ると、ここが抜けます。

分けたほうがいいケース

分けたほうがいいのは、月に何度も納品があって、請求は月1回にまとめるケースです。ここを1枚にしようとすると、納品のたびに請求書が飛んでいくことになり、相手の経理に嫌がられます。納品書を都度、請求書を月末に、と分けるのが素直です。

もうひとつは、納品後に検収の時間がかかる取引です。納品書兼請求書は請求書も同時に出した形になるため、相手が中身を確認する前に支払いの話が進んでしまいがちです。検収を待ってから請求したい場合は、納品書と請求書を分けておくほうが揉めません。

インボイス制度での注意点

適格請求書(インボイス)として認められるには、登録番号や税率ごとの区分など、決められた項目が揃っている必要があります。ここで知っておきたいのが、その項目は1枚の書類で満たさなくてもよいという点です。

納品書と請求書の2枚に分かれていても、相互の関連が明確であれば、合わせて要件を満たす形が認められています。明細は納品書に、合計と税額は請求書に、という運用も取れるということです。

ただし関連付けが曖昧だと成立しません。請求書側に「納品書No.○○の分」と書いておくなど、どの納品書に対応するかを追えるようにしておくのが安全です。

※制度の詳細や自社の該当可否は、国税庁の資料または顧問税理士にご確認ください。

納品書と請求書は何年保存するか

出したあと、いつまで取っておくのかも迷うところです。納品書も請求書も、税務上は保存が必要な書類にあたります。目安は次のとおりです。

  • 法人……原則7年(欠損金を繰り越す事業年度は10年になる場合があります)
  • 個人事業主(青色申告)……帳簿は7年、請求書・納品書などの書類は5年が基本
  • 個人事業主(白色申告)……5年

ただし消費税の仕入税額控除を受ける場合は、個人事業主でも請求書等を7年保存する必要があります。5年と7年が混在すると管理が煩雑になるので、まとめて7年と決めてしまうほうが実務は楽です。

もう一点、メールやWebでやり取りした納品書・請求書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存するのが原則です。PDFで受け取ったものを紙に印刷して、データを消してしまう運用は認められません。ファイル名に日付・取引先・金額を入れて検索できる形にしておくのが基本の対応になります。

※ 保存年数や電子帳簿保存法の該当可否は、事業形態や課税区分によって変わります。自社の扱いは国税庁の資料または顧問税理士にご確認ください。

実務でどう回すか

  1. 受注したら、内容と金額を確定させる
  2. 納品時に納品書を添える(検収してもらう)
  3. 締め日に、その期間の納品分をまとめて請求書にする
  4. 入金を確認して消し込む

手作業だと、3の「まとめる」で必ず手が止まります。納品書を1枚ずつ見返して、請求書に転記して、金額を足し直す。この転記が、そのまま請求漏れと金額違いの発生源になります。

転記をなくすという考え方

KantanBiz は、案件の進捗を進めるだけで見積書・納品書・請求書が切り替わる設計になっています。同じ明細を使い回すので、納品書から請求書への転記そのものが発生しません。月末にまとめて請求書を起こす操作も、案件を選ぶだけで済みます。

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コメント

  1. […] 見積書と請求書が別々の書類として管理されると、「この請求は、どの見積の続きだったか」を毎回たどることになります。1つの仕事に見積・納品・請求がぶら下がる形だと、途中の抜け漏れに気づきやすくなります。納品書と請求書の違いを整理しておくと、この流れがつかみやすくなります。 […]

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