食料品の消費税1%で請求書はどう変わる?税率が3区分になる話

2026年8月5日、食料品の消費税率を1%に引き下げる方針が閣議決定されました。消費税が導入された1989年以来、税率が下がるのは初めてです。ただしこれはまだ「方針」であって、法律として成立したわけではありません。この記事では、現時点で決まっていることと決まっていないことを分けたうえで、実際に決まった場合に請求書の実務で何が起きるのかを整理します。

いま決まっていること

閣議決定された基本方針の内容は次のとおりです。

対象飲食料品(酒類・外食を除く)
税率現行の軽減税率 8% → 1%
期間2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間限定
新聞の扱い軽減税率8%のまま(引き下げの対象外)
標準税率10%のまま
あわせて検討中低所得者への給付と組み合わせ、負担を「実質ゼロ」にする構想

注意したいのは、10%から1%になるのではなく、いまの軽減税率8%から1%へ下がるという点です。すでに8%で扱っている飲食料品が対象で、外食や酒類はもともと軽減税率の対象外なので10%のまま変わりません。

まだ決まっていないこと

ここが大事なところです。閣議決定されたのは政府の基本方針であり、実施には法改正が必要です。

  • 関連法案は秋の臨時国会に提出される見通しで、まだ成立していません
  • 与党の税制改正大綱がまとまるのは9月以降で、細部はこれから詰められます
  • 給付の対象範囲や金額、事務の進め方も確定していません
  • 請求書や帳簿の記載方法について、実務上の細かい取り扱いはまだ示されていません

つまりいま慌てて何かを買い替えたり、設定を変えたりする段階ではありません。ただし施行が2027年4月なら、準備期間は1年半ほどです。何が起きるかだけ把握しておくと、決まったときに動きやすくなります。

請求書で起きること:税率が3区分になる

実務でいちばん影響が大きいのは、扱う税率が2つから3つに増えることです。

いま2027年4月以降(方針どおりなら)
標準税率10%10%
飲食料品8%1%
新聞(定期購読)8%8%

適格請求書(インボイス)には税率ごとに区分した合計額と消費税額を書く必要があります。いまは「10%対象」「8%対象」の2行で済んでいますが、これが「10%対象」「8%対象」「1%対象」の3行になります。

影響を受けるのは食品を売る人だけではない

「うちは食品を扱っていないから関係ない」と思いがちですが、買う側でも3区分が出てきます。会議用の飲み物、来客用のお菓子、差し入れ、手土産。こうした支出の税率が変わるので、受け取る請求書やレシートの見え方も変わります。

とくにややこしくなるのが飲食業です。外食は軽減税率の対象外なので店内飲食は10%のまま、テイクアウトは1%。いまは8%と10%で2ポイント差ですが、方針どおりなら1%と10%で10倍の差になります。同じ商品でも提供の仕方で税額が大きく変わるため、レジや請求書の区分をこれまで以上に正確に扱う必要が出てきます。

いまのうちに確認しておくといいこと

制度が固まるまで動く必要はありませんが、手元のやり方が「税率が増えること」に耐えられるかだけは見ておく価値があります。

  • エクセルの請求書で、税率を数式に直接書いていないか=金額*0.08 のように埋め込んでいると、税率が変わるたびに全ファイルを直すことになります
  • 区分の行が2行しか用意されていない書式になっていないか。3区分が入る余地があるか確認しておく
  • 使っているシステムが、8%と10%以外の税率を受け付けるか。選択肢が2つしかない作りだと、改修を待つことになります
  • 施行日をまたぐ取引をどう扱うか。適用される税率は原則として引き渡しや役務提供の時点で決まります。月をまたぐ継続取引がある場合は、締め日と納品日の関係を先に整理しておくと慌てません

見積書や請求書の書式そのものを見直すなら、無料テンプレート集のエクセル書式が出発点になります(登録不要)。税率を行ごとに持たせてある形なので、区分が増えても行を足すだけで対応できます。

税率が変わっても、設定だけで足りる状態にしておく

消費税率は、これまでも3%から5%、8%、10%と変わってきました。今回のように下がる方向の変更もあり得ることが分かった以上、これから先も動くと考えておくのが現実的です。そのたびにシステムの改修を待つ状態だと、毎回そこで手が止まります。

KantanBiz は、税率を明細行ごとに持たせる作りにしてあります。8%と10%から選ぶのではなく、0%から100%まで自由に入力できるので、1%という税率が実際に決まった場合も、その数字を入れるだけで使えます。アップデートを待つ必要はありません。10%・8%・1%が1枚の請求書に混ざっていても、税率ごとの区分と消費税額は明細から自動で組み立てられます。

さらに、税制そのものの形が変わる場合に備えて3つのモードを用意しています。複数の税率を行ごとに扱う「複数税率」、すべてを1つの税率で計算する「一律税率」、そして税率と税額の欄自体を出さない「廃止」。将来どちらに転んでも、設定を切り替えれば書類の形が追いつきます。WordPressプラグイン版の KantanPro も同じ考え方で作ってあります。

※ この記事は2026年9月時点で公表されている情報にもとづいています。制度は法案審議のなかで変わる可能性があり、施行時の詳細な取り扱いはまだ示されていません。自社への影響については、国税庁の資料または顧問税理士にご確認ください。

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