発注書の書き方|注文請書との違い・記載項目・収入印紙の扱い

案件が増えて外注を使い始めると、最初にぶつかるのが「発注書って出したほうがいいの?」という問題です。メールで「この内容でお願いします」と伝えるだけでも仕事は進みます。それでも書面にしておくべき理由と、最低限そろえる項目を整理します。

発注書は「この条件で頼みます」の意思表示

発注書(注文書)は、発注する側が受注する側に対して、依頼内容と条件を示す書類です。法律の言葉でいえば契約の「申込み」にあたります。

これに対して受注側が「承りました」と返すのが注文請書(ちゅうもんうけしょ)で、こちらが「承諾」。申込みと承諾が揃って、契約が成立したことになります。

つまり発注書と注文請書は対になる書類で、方向が逆です。混同しやすいので、出す側がどちらかで見分けると覚えやすくなります。

なぜ口頭やメールだけだと危ないのか

揉めるのは、ほぼ次の3つです。

  • 金額:「税抜だと思っていた」「修正は別料金のつもりだった」
  • 納期:「今月中と言ったつもり」「着手が遅れた分は伸びる前提だった」
  • 範囲:「この修正は何回まで含まれるのか」

いずれも、着手前に一度書き出しておけば潰せる論点です。発注書の実質的な役割は、法的な証拠を残すこと以上に、着手前に条件を言語化させることにあります。

最低限そろえる項目

  • 発注日
  • 発注先の名称
  • 自社の名称・連絡先・押印(または電子的な承認の記録)
  • 発注番号(後から特定するため)
  • 件名・作業内容(できるだけ具体的に)
  • 数量・単価・金額
  • 消費税の扱い(税抜/税込を明記)
  • 納期・納品方法
  • 支払条件(締め日と支払日)

特に落としがちなのが支払条件です。ここが空欄だと、受注側は「納品したらすぐ払われる」と考え、発注側は「月末締め翌月末」と考えていて、初回でズレます。

作業内容は「やらないこと」も書く

範囲の揉め事を減らすには、含まれるものを書くだけでなく、含まれないものを1行足すのが効きます。

「修正は2回まで。3回目以降は別途お見積り」「素材の撮影は含みません」——この程度で十分です。相手を縛るためではなく、あとで気まずくならないための一文です。

法律で書面交付が義務になる場合がある

取引の内容と当事者の規模によっては、発注時の書面(または電磁的記録)の交付が法律で義務づけられることがあります。製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託などが対象で、下請取引を規律する法律に定めがあります。

自社が該当するかは資本金の区分などで決まり、また制度改正も入るため、公正取引委員会の最新資料で確認してください。「うちは小さいから関係ない」と思っていたら対象だった、というケースがあります。

収入印紙が要るのはどっち?

ここは間違えやすいところです。発注書は原則として課税文書にあたらず、印紙は不要とされています。一方で注文請書は、請負契約の成立を示す文書として課税対象になり得ます

ただし、発注書であっても契約の成立を証する内容になっている場合は課税されることがあり、形式ではなく記載内容で判断されます。金額区分もあるため、判断に迷う場合は国税庁の資料か税理士にご確認ください。

なお、PDFを電子的に交付する場合は印紙税がかからないという整理が一般的です。書面のやりとりを電子化する動機のひとつになっています。

発注は「原価」として案件に紐づける

発注書を出して終わりにすると、その外注費がどの案件のものだったか、後から分からなくなります。案件ごとにいくら残ったのかを見たいなら、発注の時点で案件に紐づけておく必要があります。

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